もう二度と、恋などしないと思っていた。
手酷く振られて何もかもを失って、もう二度と恋なんてできないと思っていた。
それなのに。
あのヴァイオリンの音色に恋をした。
前向きで明るくひたすらに素直、奏者の気質そのままに、綺麗に澄んだあの音に。
その演奏者に興味が移るのにはさほどの時間もかからず、生徒と教師という立ち場に怯みもしたけれど。
過去を忘れられると思った。
あの苦く痛いだけの過去を忘れるのではなく思い出にできると、そう思った。
彼女の音が、そうさせてくれると信じることができた。
だから、もう思い出はいらない。
彼女と作る未来が、そこには待っているから。
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2008.04.17‖コルダ:金澤×日野