第一印象は幼いな、というものだった。
嵐の夜、雷に怯える年相応の少女だと、そう思った。
しかし星の姫として、神子に仕える従者として、毅然とあろうとする姿は大人びて見えて、少しばかり背伸びをしすぎではないかと心配になった。
本来なら、土御門の姫として何の不足もなく生きていけただろう。
その血に星の一族のものが混じっていると、ただそれだけで幼い姫は虚勢を張ってみせる。
だからだろうか。
彼女を泣かせてみたい、などと不埒な気持ちを抱いてしまったのは。
龍神の神子の不在を狙って星の姫を訪ねれば、八葉の任を軽んじていると膨れてみせて。
自分の前でだけ見せるその顔に、ひどく満足感を覚えた。
「さて、そうは言ってもね」
扇の下で笑ってみせれば、ますます彼女は顔を赤くして怒ってみせる。
その怒りの何と心地いいことか。
怒られてそんなふうに感じるとは、悪趣味だとは理解していたけれど。
「私は星の姫が気になって仕方がなかったのだよ」
龍神の神子よりも、八葉の任よりも、帝の警護よりも、何よりも君のことが。
続けて言えば、今度は違う意味で顔を赤くする。
その様に言い知れぬ征服欲を覚えて、わずかに口角を上げてみせた。
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2008.04.17‖その他