日野さんと冬海ちゃん
「ねーねー、冬海ちゃん。これなんかどう?」
「え? あ…、え、えと……」
日野にぴらりと見せられたのは、布地のほとんどない水着だった。
「え、あ…! せ、せんぱい、それは……」
「冬海ちゃん、細いし絶対似合うって!」
そう言われて、ぐいっと日野に腕を引かれる。鏡の前に連れて行かれて、驚いているうちに水着を身体にあてがわれた。
薄い黄色のストライプに、ピンク色のフリルがついている。それはかわいいのだが、完全なビキニタイプだ。布地は本当にすくなくて、少しでもずれたらまずいのではないかというほどだ。
「うーん、実際に着てみないとわかんないなぁ」
矯めつ眇めつしていた日野は首をかしげて、にこりと笑う。
「着てみてよ、冬海ちゃん! 私も試着したいし。ね?」
大好きな日野に押され気味になりつつもお願いされて、笙子は思わずうなずいてしまった。手に日野が選んだ水着をおしつけられて、日野も自分が選んだ水着を手に、笙子の肩を押す。
試着室にそのまま連れ込まれて、カーテンを引かれた。狭い空間にふたりきりになって、笙子はわたわたと慌てる。
「え? あ、あの、日野先輩?」
「ん?」
日野はさっさと自分の服に手をかけている。同性だけれども、どきどきして笙子は水着をぎゅっと握りしめた。
「だって、ここから出るのは恥ずかしいでしょ? 冬海ちゃんとならいいかなぁって思って…。だめだった?」
尋ねられて、またしても冬海は反射的に首を振っていた。
「よかった! それね、冬海ちゃんに絶対似合うと思うの」
日野ににっこりと笑顔を浮かべて言われ、笙子は恥ずかしさを押し殺しながら服のボタンに手をかけた。
押せ押せな日野さん。
多分、何かの絵チャのときに書いたんだと思います。いつだったのかはさっぱり覚えていない…。
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2011.05.10‖コルダ:その他