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2017.10.23‖

005

 覚醒と同時に襲ってきたのは、穴に埋まってしまいたいほどの羞恥。



 熱に揺さぶられるようにして、記憶を失った。
 亜貴が覚えているのはここまでだ。その後、今の状況になった経緯を亜貴は知らない。
 しっかりと布団に横たえられている。そればかりではなく制服もきちんとハンガーにかかっていた。そして手を握ってくれている骨張った感触。背中にある体温。それを直視できないまま、グルグルと亜貴は考える。
 身体はべたべたしたままで、清められているわけではない。下着も何もつけないままで布団をかけられているだけ、ということは乃凪が直視に耐えられず被せたということだろうか。
 最中の乃凪は、普段からは考えられないほど、強引で情熱的だった。熱っぽい息や吐き出される数少ない言葉に興奮を覚え、うっかり「もっと」などと口にしてしまったような気がする。しかし感情に引きずられたからといって、事に及んだのが玄関先というのはいかがだろうか。夢見ていた初めてはもっとリッチでロマンチックだったはずなのに。
 でも。
 乃凪が、というのがこの場合は唯一にして絶対の条件だった。
 キスや愛撫が嬉しかったのは、それをしてくれるのが乃凪だったからだ。痛いのを我慢できたのだって、乃凪だったから。内側に入りこむ熱に怯えて身体を硬くする亜貴を宥めてくれたのも乃凪で、だからこそ安心しきってすべてを任せてしまったのだから。
 握られている手を見る。
 この手が自分を探ったのだ、と意識すると、恥ずかしくてたまらなくなる。顔が、耳が熱い。内心叫びながら、乃凪の手を剥がそうとすると、その手をさらに力をこめて握られた。
 びくり、と亜貴の身体が震える。
「…………大丈夫?」
 囁くような声。頭の後ろ側から聞こえてきて、ただ亜貴は身体を硬直させる。大丈夫です、とそれだけを声にできない。かろうじて首を縦に動かして、肯定を伝える。わずかだったが、乃凪ならば汲み取ってくれるだろうという期待をこめて。
「そう、よかった…」
 案の定、ほっとしたような乃凪の声が響く。声を抑えて静かにそう呟く乃凪がひどく新鮮で、亜貴は戸惑ってしまう。ごく自然に、乃凪の指が亜貴の手の甲を撫でる。それにも驚いて思わず手を引いてしまった。
「依藤さん…?」
 乃凪の声に驚きが混じる。
 触れられて思い出すのは、意識を失う前までの情交だ。とても恥ずかしくて、いたたまれなくて、けれど幸せで。気持ちがぐちゃぐちゃで整理ができない。息すら忘れてしまいそうで、大きく空気を吸いこんだ。
「…………なんでも」
 ないです、と言おうとして、声が嗄れていることに気づく。盛大に声を上げたつもりはないのだが、そう言えばずっと喉が渇いているような気もする。喉に手を当てると、背後で乃凪が息を飲んだのがわかった。
「ご、ごめん。水持ってくるよ」
 背中から熱が離れ、ガタガタと動く音がする。寂しいと思ったが、恥ずかしくてそれも見ていられない。布団に顔を埋めて目をつぶる。穴があったら入って埋め立ててしまいたい。
「依藤さん、ほら……」
 そろ、と布団から顔を出すと、そこには服をきっちり着込み、水の入ったコップを持った乃凪がいる。
 ずるい、と思う。意識を飛ばして布団まで引いてもらって、何もかもをしてもらった自分が思ってはいけないのかもしれないけど。
「せんぱい、ずるい……」
「何が?」
「ふく、…きてる」
「それは……」
 困り顔の乃凪を上目遣いに睨む。これは照れ隠しだ。フフ、と笑いが漏れてしまって乃凪も釣られたように笑う。
「うそですよ」
 腕を伸ばして乃凪の首に抱きついた。
 驚いた乃凪がコップを庇うのが、目の端に映る。でも、力一杯抱きついた。こんな声だけど、伝えたくて伝えたくて仕方がない。
「だいすきです」
「……うん、俺も」
 穏やかな声がそう耳元で言う。それだけで嬉しくて顔が緩む。
 幸せでどうしようもない。嬉しい。嬉しい。嬉しい。
 力の限り抱きついて、抱き返してくれる腕が優しくて、亜貴はひたすら幸せを感じたのだった。


「それにしても」
「ん?」
 抱きついた腕を解いて、乃凪が差し出した水を一口飲んでから亜貴は言った。
「まだ中に先輩がいるみたいです」
「…………!!!」
「初めてだからかなぁ?」
 首を傾げる亜貴に、乃凪が撃沈したのは無理もない。





2007.07.13up
蛇足です。ラブラブさせたかっただけ。ピロートーク。
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2007.07.13‖TAKUYO
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