いつの間にこんなに大きくなったのだろう。
珠洲は陸のあとについて階段を下りながら思った。
昔は小さかった。珠洲よりも全然小さくて、手も身体も、珠洲がすっぽり覆ってあげられるほどだったのに。
陸が珠洲の背を抜いて、どんどん大きくなっていったのはいつ頃なのか、珠洲は覚えていない。
(あ、つむじ…)
どうでもいいことに気づいて、けれどやけに満たされた。
「……陸?」
「どうしたの、姉さん」
小さく呼べば、陸が振り返る。それに微笑んで、珠洲は少しだけ屈んでみせた。
「………!」
身体を起こして笑い声を漏らすと、陸は不愉快だというように眉をしかめた。
大きな手が、珠洲に向かって伸ばされる。首の後ろを掴まれて、力任せに引き寄せられる。
「り……」
名を呼ぶ前に塞がれた。
息を飲んで目を見開く珠洲を、色気を含んだ陸の目がはっきりと捕らえた。
「するなら、こうやってしっかり触れて」
唇を離して、陸は言う。
瞳を閉じると、もう一度、それが強く押し当てられた。
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2007.12.14‖その他