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2024.11.22‖
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景時×望美。
お題:君を想う5つのお題3 (お題配布元:TV



 壇ノ浦の海。
 黒々と果てしなく続くように見える闇に、ポカリと置き忘れたような月が浮かんでいる。
 明日になれば、海戦がはじまる。
 熊野を味方に引き入れた源氏が勝つのは明白だ。
 気になっているのは、それとは別のこと。
(景時さんは…)
 どうするのだろう。
 夏の熊野で垣間見えた本音。
 月には行けない、と彼は悲しそうに見上げていた。
 何かを隠していると、わかっているのに。
 それを問いただすことができないまま、明日を迎えてしまいそうだった。
 何を隠しているの。
 どうして黙っているの。
 ただ、それだけが聞きたいのに。
 サク、と砂を踏む音に振り返れば、穏やかな翡翠色の目をした人がそこに立っていた。
「どうしたの、望美ちゃん。明日は決戦だよ。もう休まないと……」
「景時、さん」
 笑って話しかけるその人が、悲しくて、悔しくて。
 泣かない、と歯を食いしばったけれど、視界が滲んだ。どうにか涙を落とすことなく見上げると、そこでやはりその人は穏やかに微笑んでいる。
「怖くなっちゃったのかな? 大丈夫だよ。君は、オレが守るから」
 首を振る。
「そんな、じゃないです。怖くなんか、ない」
 それよりも、あなたが。
 口を開こうとすると、手が伸びてきて頭をくしゃりと撫でられた。
「さすがだなぁ、望美ちゃんは。強いし、カッコいいし、やっぱりオレの憧れだよ」
 何度も繰り返される言葉に遮られる。
 頭を撫でた手が背に回って、陣中へと促される。
「でも、もう休まないと。明日がつらいよ〜?」
「あの、景時さん!」
「話は、明日ね」
 にこりと笑って躱される。
 どんなに願っても、私の声はあなたに、とどかない。
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2007.04.04‖その他
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