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2024.04.19‖
 B6/18P/¥100/2011.10.10発行



 目の前で繰り広げられる試合に、笙子の目は釘づけになった。
 笙子は、スポーツに明るくない。サッカーのルールも、キーパー以外は手を使ってはいけないこと、ゴールにボールが入れば得点になることくらいしか知らない。それでも、グラウンドの隅から隅まで動きまわる部員たちの姿には惹きつけられるものがあって、どきどきしながら試合に集中してしまっていた。
 観戦スペースでサッカー部の内部試合を観ることになったのは、本当に偶然のことだった。放課後になって、今日はどこで練習をしようか迷っているときに天羽と行きあったのだ。天羽はカメラを片手にサッカー部への取材へ行くところで、サッカーの試合を観たことがないという笙子を誘ったというわけだ。せっかくだから、と天羽はヴァイオリンの練習をしていた日野もつかまえ、学内コンクールで知り合った女子三人で仲よく観戦中である。
 気持ちのいい秋晴れだった。ほどよく風が吹いていて、その風もどこかひんやりと冷気を帯びている。まだ紅葉にははやいが、そのうち木々も赤や黄色に色づいていくだろう。試合をする側にとっても、観戦する側にとってもいい日和だ。
「カットしろ、カット!」
 声が響いて、ボールが大きく弧を描いた。すでに落下地点には何人かが走りこんでいる。そのうちのひとりが、高くジャンプをした。
「あ、また土浦くん」
 言いながら、天羽はパシャパシャとシャッターを切る。レンズの向いたさきには果たして土浦がいて、笙子の鼓動は大きくはねた。
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2011.09.30‖offline
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