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2024.11.22‖
 B6/26P/¥300/2011.10.10発行予定



「えぇっ!? まだつきあってないの?」
 悦は驚きの新事実に声を上げた。
 場所は風紀会議室。今日、委員会がないことは顧問である真朱に確認ずみだ。誰も来ないとわかっているからこそ、こんなはなしもできる。そう、目の前の彼女――依藤亜貴の恋のはなしを。
 亜貴に自覚はないようだが、彼女はもてる。こんなはなしを教室でしていたら、どこに耳があるのかわからない。クラスには地獄耳の白原もいることだし、風紀会議室であるのならばおおっぴらに恋バナをしていても大丈夫だろうという根拠のない自信が、この場所を選んだ理由だった。
 本来なら女子高生なのだし、喫茶店なんかでキャッキャとはなしに花を咲かせるのがいいのかもしれないが、亜貴はひとり暮らしで自由にできるお金が少ない。悦もお金がかからないなら、それに越したことはないと考えているので、こうして学校内で内緒のはなしを繰り広げているのだ。
 困ったように眉をさげる亜貴を見る。亜貴はかわいい。同性の悦からもそう見える。さらさらストレートのきれいな髪も、ぱっちりと大きな瞳も、かわいらしい外見にそぐわず意外と発言に毒があるところも高ポイントだ。
 そんな彼女の力になりたいと奔走したのが、今年の春のこと。亜貴が亜貴の従兄である内沼に恋しているのではないかと勘づいたのが発端だ。亜貴の恋を応援しようと尽力したのだが、どうやらそれは見当違いの援護射撃だったらしい。結果的に、彼女は内沼の親友と見なされている乃凪からの告白を受けた。
 聞き出すのには苦労したが、それだけの成果だ。悦は満足している。
 夏休み明けにそのはなしを聞いてから、悦は亜貴と乃凪はつきあうのだとばかり思っていた。乃凪は薄い薄いと言われ、内沼にいじられっぱなしだが、あの風紀委員のなかにおいては、どちらかといえば常識人ポジションだ。学年一位を取るほどに頭もいいし、亜貴にはやさしく接しているし、顔も案外悪くない。興味のない悦から見ても将来有望株の部類だった。
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2011.09.27‖offline


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