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2018.05.23‖

#13

手をつなぐ



 手のひらが、やけに熱い。
 土浦は手のなかに握りこんだやわらかな感触を、できるだけ意識しないようにして失敗した。
 嬉しいのに気恥ずかしくて、どういう顔をしていればいいのかわからない。にやけただらしのない顔を冬海にさらすのは格好がつかないし、仏頂面で表情筋に力を入れれば、眉が寄り、一見して不機嫌な顔になりかねない。それで冬海を怯えさせるのは本意でないし、この手を離されてしまうのは、もっとも避けたいことだった。
 結局土浦は、無表情に徹することにした。冬海の存在を斜め後ろに感じながら帰り道を歩く。右半身が熱い気がする。
 小さな手は細く頼りなくて、力を入れすぎてしまえば折ってしまいそうだ。けれど同時に、本当につかんでいるのか危ぶまれるほどやわらかい。
 土浦はその存在を確認するために、ほんの少し手に力を入れる。すると小さな手も土浦の手を握り返してきて、ぎくりと肩が強ばった。ほっとするどころではない。みるみる顔に血液が集まっていく。鼓動が早くなる。手が汗ばむ。
 何だか悔しくて、握った手を力任せに引き寄せた。きゃ、と小さな声とともに、小さな身体が視界に飛び込んでくる。細い髪が慣性に引かれてさらさらなびいた。慣性から重力へ、髪は従う法則を変えて落ちる。あらわれたのは、驚きに見開かれた瞳と、真っ赤な頬。冬海はまばたきをひとつして、急いで顔をふせた。
 土浦も慌てて顔を正面に向けた。つないだ手は離さず、まっすぐに伸びた道をただひたすらに歩いていく 。
 首や耳が熱い。絶対に赤面している。自分の焦りから生まれた迂闊な行動に舌打ちしたい気分だ。心臓が妙に大きく脈打っている。息も苦しい気さえする。
 それでも。
 それでも、このつないだ手を離すつもりなど、さらさらなかった。
 冬海からも、離される気配はまったくない。
 そう気づいて、ふと冬海の手も熱く汗ばんでいることにも気づく。そして土浦はようやく大きく息を吐き出した。
 手のなかのぬくもりを強く握って、土浦は顔をほころばせて駅までの道を歩いた。



2011.03.21up
手をつないでるだけです。土浦の独白。きもいよ!(笑)
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