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2017.10.23‖
S.Y.K。悟空×玄奘。



「げんじょーせんせい、ありがとうございました」
 歯の抜けた顔でニカ、と笑われ、玄奘は微笑みながら彼の頭を撫でた。
「新しいご両親に、ご迷惑をおかけしてはいけませんよ?」
「はい!」
 ビシ、と背筋を伸ばしてみせる少年の頭をもう一度撫で、玄奘はその背後に経つ一組の男女に向かって頭を下げる。
「どうぞよろしくお願いいたします」
 玄奘が顔を上げれば、すでに少年は弾むような足取りで、その男女のもとへと駆け寄っていた。男の手が玄奘と同じように少年の頭を撫で、穏やかな微笑みで、しかし力強く頷き返す。少年の荷物を持って、彼らは玄奘に背を向けた。
 何度も振り返り、大きく手を振りながら寺院を出ていく少年の姿が見えなくなってから、玄奘は小さく息を吐いた。
 少年は寺院の子どもたちの中でも、飛び抜けて元気で、いたずらの好きな子だった。あの騒がしさがなくなってしまうのかと思うと、ほんの少しだけ寂しい。それを見透かしたように、頭上から悟空の声が響いた。
「何だよ、嬉しくねえのかよ?」
「いえ、嬉しいですよ」
 答えながら、悟空を仰ぎ見る。
 嬉しくないわけではない。ただ、寂しいだけで。
 子どもたちに里親が見つかることはいいことだ。彼らを世話をすることはできても、慈しむことはできても、家族同然に暮らしていても、玄奘は彼らの親にはなれない。家族には、なれないのだ。
 それが寂しい。
 きゅっと唇を噛み締めると、悟空の大きな手が頭に落ちた。
「それなら、そんな顔すんなよ。親が見つかるのはいいことだし、お前の世話を待ってるガキはまだいるぜ?」
「………そう、ですね」
 悟空の言葉を反芻して、玄奘は俯いてしまいそうな顔を上げる。
 寂しいけれど、子どもたちにとっては喜ばしいことだ。寺院で孤児の世話をしなくてもよくなるのが、本当のかたちなのだ。だから、寂しいなどと考えてはいけない。今までこの寺院から里親に引き取られていった子も、これから出ていく子も、それ以外の誰もが等しく幸せを手に入れることのできる世界を玄奘は望んだのだから。
「少し寂しいと思ってしまいましたけれど、あの子たちを本当に思っているのなら、喜ばなくてはいけませんよね。皆ここからいなくなるのが、一番いいことなのですから」
 寺院を振り返りながら、そこに誰ひとり子どもがいないことを想像しようとしたがうまくいかない。やはり寂しさを抑えきれずにいると、悟空の手がするりと頬を滑る。何かと見上げれば、視線の先で悟空がにやりと笑った。
「そんなに子どもがほしいなら、作るか?」
「………………………は?」
 長い指が唇を撫でる。
 玄奘は悟空の言葉の意味を理解できず、目を瞬かせる。
 子どもを、作る?
 どうやって?
 悟空の好きな研究で?
 悟空の言葉は衝撃すぎて、全然頭の中に入ってこない。そんな玄奘にますます笑みを深くした悟空は、その端正な顔を近づけて低く囁いた。
「俺と、お前の子ども。作るか?」
 唇はもう触れ合うほどに近づいていて、玄奘はやっと悟空が何を言っているのか理解した。途端に襲ってくる羞恥が、その頬を一気に染め上げる。
「な、な、なに、を………!」
 思考はまったく働かず、どう答えたらいいのかもわからない。混乱したまま、視線を彷徨わせてうろたえる玄奘に、とうとう悟空が吹き出した。
「ご、悟空!」
 からかわれたと気づいた玄奘が声を荒げても、悟空の笑いは止まらない。
「もう、………知りません!」
 いつまでたっても笑い続ける悟空に、玄奘は膨れっ面で背を向けた。
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