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2024.03.29‖
土冬でクリスマス創作。



 色鮮やかなイルミネーションが街を飾り、賑やかなBGMが喧噪を縫って流れている。
 そんな道を行く人々は、冷たい空気の中でも、そこがどんなに混雑していても幸せそうに笑い合っている。
 それはそうだろうと、土浦は人ごみの中を待ち合わせ場所に向かって歩きながら考えた。
 今日は12月24日。クリスマスイブである。
 何はなくとも、お祭り気分にさせられる。家で出てくる夕飯は豪華になるし、食後にはケーキ。小さなころには、眠る枕元にプレゼントが届けられた。
 そんな一家団欒でなければ、クリスマスは恋人たちのイベントだ。街中が幸せに満ちるのも無理のないことである。
 土浦自身も、今年は例に漏れずというところだった。
 以前に恋人がいたことはあったが、彼女とはほとんど何もないままに破局した。だから、恋人のいるクリスマスは今年が初めてである。
 自分が浮き立っていることを、土浦ははっきりと自覚していた。
 クリスマスなんて、今までは興味もなかったのに、恋しく想う彼女と過ごせるというだけで、こんなに嬉しい。
 にやける口元をマフラーで覆い隠して、土浦は土浦はコートのポケットに手を突っ込んだ。
 視界に入る大きなクリスマスツリーは、待ち合わせの目印だ。考えることは皆同じようで、その真下は人が密集している。その中にあっても、彼女を見つけられるのはどういうことだろう。愛の力、なんて普段は鼻で笑うけれど、今日くらいは信じてもいいかもしれない。だって、今日はクリスマスだから。
 柄にもないことに自分自身で笑いながら、土浦は彼女に向かって声をかける。
「冬海!」
 声に、冬海の心配げに曇っていた顔が、たちまち晴れる。きらきら輝く瞳が、心からほっとしたような笑顔がこちらに向くと、それだけで胸がときめく。
 ポケットに入れたままの手に小さな箱を握りしめ、土浦は冬海と過ごせる一日を思って顔を緩ませた。
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