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2017.11.18‖

#08

未来捏造結婚式直前小ネタ。



 深呼吸をひとつして、土浦は白いドアをノックした。
「…は、はい」
 少しだけ、ためらったような声。
 金メッキのドアノブを押し開けば、そこには恥ずかしそうに頬を染めて椅子に座る冬海がいた。
 土浦はその姿に息を飲む。
 冬海は、同じ高校の先輩後輩の間柄だった。卒業した高校は、普通科と音楽科に別れていて、土浦は普通科、冬海は音楽科に所属していた。
 それにも増して、土浦は冬海が苦手だった。女の子らしい女の子そのものの冬海は、吹けば飛びそうで、触れたら壊れそうで怖かった。それが、この日を迎えることになるとは、当時は考えもしなかったことだ。
「ふふ。私たちはお邪魔だろうから、行こうか、香穂」
「うん。じゃあ、あとでね」
 冬海のそばに立っていた日野と天羽が、笑いながら土浦の横を抜けていく。彼女たちも今日はドレスアップしているのだが、そんなものは目に入らなかった。呆然と立ち尽くしたままの土浦の背後で、ドアが閉まる。
 二人が去ってから、部屋に横たわるのは沈黙だ。お互いに声を発しないまましばらくして、冬海がもじもじと指を絡み合わせる。
「あ、あの…」
 不安そうに揺れる声とかげる表情に、土浦は我に返った。そして慌てて目を逸らした。頬が紅潮する。
「…悪い。見とれてた」
 思わずこぼしてしまった正直な言葉に、冬海の頬が一気に染まる。土浦はそんな冬海の近くに寄って、彼女を見下ろした。
 白い、真っ白いウエディングドレス。
 それは彼女の無垢さを表すように楚々としている。ドレスの試着に土浦もつきあったから、この姿を見るのははじめてではない。それでも、今日、このときばかりは触れるのも躊躇われるような美しさだ。
 プロのメイクが施されているとか、髪をきれいにセットしてあるとか、そういう問題ではなく、内面からにじみ出る何か。それが冬海を輝かせているのだと、土浦は直感的に察する。
「………やばい」
「? どうかしたんですか?」
 土浦を見上げながら小首を傾げてくるのに、土浦は大きく息を吐いた。
「お前がかわいすぎて、押し倒したい」
「だ、だめ、だめです…!」
 だってこれからお式で、と慌てて続ける冬海に笑ってみせて、土浦は腰を屈めた。
 ずい、と近づいてくる土浦の顔に、冬海の頬がさらに紅潮する。
「わかってるよ。そんなことできないってさ。でも、これくらいは許してくれないか」
 言うと、土浦の手が冬海の頬へ伸びる。びく、と手の下で震えた冬海に喉の奥で笑って、土浦は赤い唇に一瞬だけ触れた。
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