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2024.03.29‖
冬海ちゃんお誕生日企画でのチャット初出。その2。
加地とは、どういう経緯で恋愛が進行するのか考えたらこうなった。日野が共通点にあって、そこからかなーと。
書き慣れてないから、何かおかしいような気がする。



 音楽棟の屋上のベンチに腰掛けていると、透明なヴァイオリンの音が耳に届いた。日野の音だ、と加地は見ていた楽譜を膝の上において、目を閉じる。
 日野の音は清らかで美しくて、いっそ嫉妬してしまうくらいに理想の音だ。あまりにも理想過ぎて、とうとうこの学院に転校してしまったほどに憧れている。
 もちろん、音だけにではない。日野自身にも、好意を抱いている。明るくてかわいい。だが、その好意が恋愛とは別ものなのだと気づいたのは、隣で同じように日野の音に聞き入っている後輩の存在があったからだ。
「やっぱりいいね。日野さんの音」
「…そうですね」
 口元に穏やかな微笑を浮かべるのは、冬海笙子だ。冬海は男性全般が苦手らしく、加地も最初は怖がられていたが、『日野の音』という共通の話題を見つけてからは、よく話をするようになった。
 日野に憧れている者同士、話はよく弾んだ。そうして会話ができることが嬉しいと思うようになって、冬海が気になるようになって、そしてこれが恋だと気づいた。
 しかし、想いを告げるには彼女は幼すぎたし、今の関係を壊したくないとも思っていた。冬海の隣にいられるという幸運を、逃したくないと考えたのだ。けれど、このままでは何の進展もないことは明白で、今日は少しだけ踏み込んでみることにした。
「でも、冬海さんの音も、僕は好きだよ」
「………え?」
「冬海さんと同じで、透明感があって、綺麗で、やさしい音だよね」
 にこり、と笑って言うと、冬海は一瞬きょとんと目を見開いて、ついで真っ赤に顔を染め上げた。そのまま恥ずかしそうに俯いて、喉の奥から細く震える声を絞り出す。
「あ、あ、ありがとう、ございます。……あの」
「ん?」
 冬海の初々しい仕草に、完全に油断していた。
「私も、加地先輩の音、大好き、です」
 頬を染めたまま、ほんの少し首をかしげて微笑む冬海に、思わず目を奪われて、加地はまいったな、と内心で苦笑した。
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2008.11.03‖コルダ:その他
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