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2018.11.22‖

#05

59粒子さんでのチャット初出。
イラストを見ながら書いたもの。



 土浦の誕生日が近いと教えてくれたのは天羽だった。夏休みに入ってすぐなんだよ、と情報通の先輩は教えてくれたけれど、だからといって、土浦が喜びそうなプレゼントは思い浮かばない。
 付き合い始めてはじめての誕生日。是非とも何かを贈りたいところだが、笙子は何をあげればいいのか、さっぱり見当がつかなかった。
そこに助言をくれたのは、土浦の誕生日を教えてくれた天羽と、学内コンクールを一緒に戦った日野だった。日野も天羽も普通科で、土浦と仲がいい。だから、絶対に喜んでくれるよ! と太鼓判を捺してくれたのだが、それは笙子にとっては非常に勇気を必要とすることだった。けれど、他にプレゼントも思いつかなかったし、日野や天羽の助言を無碍にするのも申し訳ない気がしていた。
 そしてその日、チャンスは、突然やってきたのだった。


 笙子は、目を瞬かせた。目の前には、土浦がいる。土浦は倒れかけた笙子の下敷きになっていて、いつもは高い位置にある土浦の顔が目の前にあった。
 そこで、笙子は普通科の先輩たちの言葉を急に思い出す。

『土浦くんが喜ぶプレゼントなんて、キスのひとつでもしてあげれば十分だと思うよ?』

 キス、という単語を聞いただけで、笙子は顔を真っ赤に染め上げた。何故といって、土浦とそういうことをしたのは、片手で足りるほどでしかなかったのだ。それに、いつもは土浦がイニシアチブを取っている。だから、笙子から、というのはとんでもなくハードルの高いことだった。
 けれど、だからこそサプライズ的な意味を持ったプレゼントにもなりえるのだと諭されて、笙子は本当にそういう機会があったのなら、と考えていた。自分でそういう雰囲気を作り出せるとは、全然思っていなかったのだ。
 そして今。その機会は急にめぐってきている。笙子はどきどきとする胸を一生懸命に押さえて、ごくりと空気を飲み込んだ。
「冬海…?」
「え、えと、その……、あの……」
 そんな笙子の只ならぬ気配に気づいたのか、土浦は怪訝そうに笙子を呼ぶ。
 土浦の呼びかけには返事らしい返事を返せず、笙子は両手をぎゅっと胸の前で握り締めて、覚悟を決めた。きっと、もう二度とこんなチャンスはめぐってこない。
「す、少し早いんですけど、あの…」
 早口で告げて、笙子は目を強く閉じた。そして首をぐいと前に突き出す。そこには土浦の額があった。唇になど、触れる勇気はない。
 ちゅ、と小さな音を立てて、唇が離れる。恥ずかしさに頬を真っ赤に染めて、笙子は告げた。
「お誕生日おめでとうございます、土浦先輩」
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