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2017.11.18‖

#11

10/29 冬海ちゃん絵茶で書いたもの。
イロモノ(笑)。
ハロウィンの話のはずが、リリのいたずら話になってしまった…。



「ど、どうなさったんですか? 土浦先輩」
 笙子は驚きに声を上げる。予約していた練習室には土浦がいた。それだけなら、別段驚くこともない。しかし土浦の耳はとがって上を向き頭部から生え、口元には小さな牙があった。人ならざるそれに、笙子は声を上げたのだ。
 むっつりと黙りこんで床に座っている土浦の前に、笙子は膝をついた。
「あ、あの、どうなさったんですか?」
 耳に手を伸ばすと、ぷるぷると震え、しかも体温がある。本物? と目を瞬かせる笙子の目の前に、きらきらと輝くものが飛来した。
『久しぶりだな、冬海笙子!』
「……リリちゃん?」
 またしても、笙子は驚きの声を上げた。
 音楽の妖精であるアルジェント・リリ。リリの姿は学内音楽コンクールの終了とともに見えなくなったはずだった。それに力を失いかけたリリのために、今はアンサンブルコンサートなどを開いて音楽を学内に満たしている最中でもある。
 それなのにどうして、と目を瞬かせると、土浦が頑として開かなかった口を開いた。そこから零れた声に、笙子は三度驚いた。
「ニャー!」
 怒り狂った猫の鳴き声だった。普段は低く威圧感のある土浦の声は、聞くも無残なものに変わり果てている。
「つ、土浦先輩…?」
 おそるおそる声をかけると、はっとしたように土浦は笙子を振り返った。またぐっと唇をつぐんで、ふわふわと浮遊する輝きをにらみつける。
「リ、リリちゃんのせいなんですか?」
 リリと土浦とを見比べながらたずねると、空間に声が響いた。
『土浦梁太郎が素直にならないから悪いのだ!』
 姿ははっきりとはしないが、まぎれもなくリリの声だった。思ったよりも元気な声と懐かしさに、笙子は顔をほころばせる。
「リリちゃん、元気そうでよかった…!」
「ニャー!!!」
 そんなのほほんとした様子に、怒りに毛を逆立てた土浦が威嚇してくる。びく、と笙子が震えると、リリの声がまた響く。
『ダメなのだ、土浦梁太郎! 素直じゃないうえに、冬海笙子を大事にもしないのだな! そんなだから呪いにかかるのだ!』
「呪い?」
『そうなのだ。土浦梁太郎と相思相愛の相手にしか解けない呪いなのだ。相手をはっきり言っていれば呪いにかからなかったのにな』
 憤慨したように、楽しそうに言って、リリは輝きながら宙を舞う。
『まあ、どちらにしても夜になれば解けるのだ。それまで我慢するのだな。我輩は、まだあまり長い間こうしていられないのだ。というわけで、像に戻るのだ〜』
 きらきらきら、と輝きを増して、突然それは消えた。何もなくなった空間を間抜けに見上げている笙子のとなりで、ぐるる、と土浦は怒りに喉を鳴らした。
「つ、土浦先輩」
 視線を移すと、眉を寄せ、凶悪な顔つきの土浦がいる。久しぶりにみる表情だ。出会った当初は、よくこんな顔でにらみつけられていた。それもこれも、自分がはっきりしなかったせいだ、と笙子は反省している。
「あ、あの…。呪いって、どうしたら解けるんでしょう? そ…、相思相愛の相手、がいたら、呪いは解けるんですよね?」
 笙子は頬を真っ赤に染め上げて、ちらり、と上目づかいに土浦をうかがった。信じられないことではあるが、土浦と笙子は恋人どうしだった。だから、相思相愛の相手、というのは自分であるはずなのだ。
 勉強も運動もできて、人望も厚い土浦が、何をどうして自分を気に入ってくれたのかわからないけれど、そうであるはずだ。
 見慣れない土浦の姿は、猫耳に牙、それによくみればしっぽと揃ってかわいらしいが、そんなことは口に出せない。それに会話ができないのは不便であるし、土浦の声が聴きたいな、と笙子は思う。
 最初は低くて怖い声だと思っていたけれど、今は笙子をときめかせて同時に落ち着かせてくれる声だ。
 だから、笙子は勇気を振り絞ってたずねた。
 すると、土浦はほんの少し頬を赤らめて、笙子を手招いた。疑うこともなく近寄った笙子の腕をつかみ、ぐいと引き寄せられる。あっという間もなく、土浦の顔が至近距離にあった。牙のある口を開いて、土浦は首を傾ける。食べられる、と笙子が身体を竦め、目を強くつぶると、唇に噛みつかれた。
 どく、と脈が乱れた。
 長くて短い一瞬の後、土浦が唇を離す。
「キスが呪いを解く方法だなんて、古典的すぎるだろ」
 耳元に囁かれて、顔が見えないように強く抱きしめられる。どくどくと服を通して伝わってくる鼓動が自分と同じように早いことに安心して、笙子はその胸にもたれかかった。
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