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2017.11.18‖
 B6/22P/¥200/2010.10.03発行



 突然の雨だった。夏の空に高くそびえる入道雲が、どんどんその勢力を拡大して空の青をおおい、あっという間に陽射しを遮った。かと思えば、ゴロゴロ、と不審な音を轟かせて、大粒の雨が勢いよく落ちてきたのだ。
 寮への帰り道の途中だったかなでは、ぽつりと落ちてきたしずくに空を見上げ、おおいに慌てた。何故といって、コンクールの練習のために、ヴァイオリンケースを持ち歩いていたからである。弦楽器であるヴァイオリンは湿気に弱い。雨が降っているときには、防水カバーをつけるのが普通だ。けれど、今日は何の防備もしていなかった。祖父に作ってもらったヴァイオリンだ。雨に濡らすことだけは、どうしても避けたい。
 だが幸いなことに、寮はもう目と鼻の先だった。かなではヴァイオリンケースを濡れないように胸に抱えこんで、大急ぎで菩提樹寮を目指したのだった。
 けれど雨は、短時間に激しさを増す。雨粒がかなでの肌を濡らし、足元ではねる。そんな雨からヴァイオリンケースを守ろうと必死になっていたのが悪かった。寮の門をくぐって、玄関まであと少し、と安心したのもよくなかったのかもしれない。
 ずる、と足元が滑った。
 次の瞬間には、身体の重心がおかしい位置にあった。口があ、という形で止まって、悲鳴も出ない。かなではヴァイオリンケースを抱きしめるように前傾姿勢になっていて、そのまま前に倒れこんでしまったのだ。濡らさないようにと抱えたケースを雨の中に放り出すことはできなくて、このままでは顔面から地面に着地してしまいそうだったが、どうすることもできない。
 衝撃を覚悟してぎゅっと目と閉じる。だが、衝撃はやってこなかった。代わりにふわりと身体が浮かんだような感覚がして、耳元にやわらかな声が届いた。
「大丈夫ですか? 小日向さん」
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2010.10.03‖offline
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