AVDにこんなのがあったと思うんですが、自分でも書きたかったので一人称本文の習作です。
3年目の冬の賛否両論あるあのイベント。琥一独白。
バンビは名無し。
3年目の冬の賛否両論あるあのイベント。琥一独白。
バンビは名無し。
普通の高校生活が楽しくなって忘れてた。
いや、忘れてたんじゃない。思い出そうとしなかった。オマエといるのが楽しすぎたから。
弱気になった頭で考えられたのはオマエのことだけだ。無性に顔が見たくなって会いにいった俺は大馬鹿だ。嫌われたくないのに、殴られたと一発でわかるようなツラでオマエのところに行こうなんざ、本当に頭が動いてなかった。でも、俺はただオマエに会いたかった。
だけど途中で怯えられると気づいて公園で足を止めて、本当に馬鹿だと自嘲してたらオマエが来た。できすぎだろう。泣きそうな顔で、震える手で、どうして俺に触れられる。汚れるから止めろと言いたかったのに、声にならなかった。
喧嘩を売られたけれど、手は出してない。そんなのが言い訳になるわけじゃなかった。喧嘩はしないで、とあれほど強く言われていたのに、最後の最後でこれだ。締まらねぇ。
こぼれるんじゃないかってくらいに目に涙をためてるオマエに我慢できなくなって、痛む腕を気にせず抱き寄せた。ぬくもりにほっとする。反対に、細い身体は思いっきり力を入れたら折れるんじゃないかと不安になる。
「情けねぇ」
「え?」
「オマエに甘えにきた自分が情けねぇ」
吐き出して、顔を見られたくなくてさらに抱き寄せると、小さな身体が強張った。けれど、次の瞬間には細い腕が背に回る。
「……嬉しいよ?」
ぎゅっと抱きしめられて、涙が出そうだ。
震える声が耳元で、琥一くんが無事でよかったと安堵の息を吐く。
「ありがとな」
今、オマエに拒否されてたら、きっと俺は立ち直れなかった。暴力よりも何よりも、オマエに否定されることが痛くて怖い。もうこのぬくもりを離せそうにないと、抱きしめる腕に力をこめた。
PR
2010.07.30‖その他